宇宙の誕生と生命の発生・進化は、われわれの関心を引いて止まない自然の大きな営みである。自然の驚異を伝えてくれるその物語を通して、科学の姿を描き出し、かつ人間にとっての科学とは何かを考えようというのが本書の目的である。第一部で、技術を支える基礎科学の基本的考え方が解説される。そこでわれわれは、科学技術がわれわれの生活の隅々にも入り込んでいるという事実が、基礎科学の思想に強い説得力を与えていることを知るだろう。第二部では、基礎科学が、宇宙の誕生から生物進化までに至る歴史と正面から向き合い、科学としての進化論を作り上げていくさまが紹介される。取り上げられるのは、宇宙科学、太陽系科学、地球科学、生命科学の成果である。 進化は、自然が空間の中に構造を作り時間の中にリズムを生む能力を持つことの'自然な'帰結であるが、しかしそこにはなお数え尽くせない驚異がある。これは、そのような自然への案内書である。
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