本書のもとである、J.J.サクライによる Modern Quantum Mechanics は1985年の刊行以来、量子力学の核心に迫る名著として高く評価され世界中で読み継がれてきた。ここでは波動関数もシュレーディンガー方程式も与えられた仮定ではなく、全てが明確に提示された基礎概念から極めて自然に導かれている。
この第2版では実験家であり教育者であるジム・ナポリターノ氏が共著者となり、量子力学の基礎に関連する新しい実験データや講義で必要となる一般的事項や問題を追加した。そして相対論的量子力学への拡張を考慮して改訂がなされている。
理論の道筋を説得力をもって示す一方、その帰結である極めて非古典的な実験事実を紹介するのも本書の特徴である。中性子の重力干渉、アハラノフ-ボーム効果、ベルの不等式の検証や最近のニュートリノ振動のデータなどは、初学者にとって新鮮な驚きであろう。本書は量子力学の魅力と普遍性を雄弁に語っている。
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